長期間におよぶ大規模修繕工事には、居住者や周辺の住人、施工会社とのトラブルがつきものです。また修繕計画や集金計画の不備による修繕積立金不足や、防犯被害などが発生するケースもあります。

本記事では、大規模修繕でよく起こるトラブルを紹介。原因や具体的な解決策も解説するので、これから大規模修繕を検討している方は是非最後までご覧ください。

大規模修繕時のよくあるトラブルとは?

マンションの大規模修繕は、12〜15年に一度、経年劣化の修繕や設備の拡充を行うことが推奨されている重要な工事です。

築後12~15年築後24~30年
1回目の大規模修繕工事の実施2回目の大規模修繕工事の実施
主な
工事内容
・屋根防水の補修、修繕
・外壁の補修、塗替
・建具の点検、調整
 etc…
・屋根防水の補修、修繕
 または撤去、新設
・外壁の補修,塗装、除去
・傷んだ金物類の取替
・耐用年数越えの設備取替
 etc…

大規模修繕の手引き – 住宅金融支援機構

計画から実際の着工まで、1年から1年半以上かかるのが一般的です。

実際の工事期間は、50戸以下の小規模マンションで2〜3ヵ月

大規模マンションにいたっては5〜6ヵ月、またはそれ以上かかる場合もあります。

建物規模計画から着工まで工事期間
小規模マンション1年~1年半以上2〜3ヵ月
大規模マンション1年~1年半以上5〜6ヵ月、それ以上

長期間にわたり大規模な工事を行うため、マンション居住者の生活に与える影響はさまざまです。特に工事期間が長ければ長いほど、外部への影響を配慮しなければなりません。事前の対応を怠ると、周辺住民からの苦情など、トラブルに発展する可能性があります。

大規模修繕でよくあるトラブルとして、次のようなものがあります。

修繕積立金に関するトラブル

お金 家

大規模修繕でよくあるトラブルの1つが、修繕積立金の不足です。多額の費用を要する大規模修繕では、通常、管理組合による「長期修繕計画」のもと、マンション居住者から毎月決まった金額の修繕積立金を徴収します。

しかし、新築時のマンションは必要な修繕費の予測が立てづらく、修繕積立金を安く設定してしまうケースがあります。また長期修繕計画の不備によって、工事に必要な修繕積立金が集まらない場合もあります。

不足分を居住者から「一時金」として追加徴収する

本来であれば不測の事態も加味して予算を組む必要がありますが、万が一修繕積立金が不足したときの対策としては、不足分を居住者から「一時金」として追加徴収することで解決が可能です。ただし居住者に対して負担をかけることとなるので、クレームの元になったり施工後の不満が出やすくなるデメリットもあります。

工事内容の見直し

大規模修繕は多額の工事金額と時間を要するため、不測の事態が起こらないように事前準備の徹底が重要です。万が一不測の事態が起きるなどして計画通りに進まなかった場合は、一度工事内容・計画自体を見直すことも大切です。ただし工事内容の見直しに関しては、住民説明会を開き、居住者が納得したうえで行わなければなりません。

住宅金融支援機構の融資を受ける

住宅金融支援機構は、住宅ローンに関する様々な金融サービスを提供している国の機関です。個人向け住宅から賃貸住宅、マンション管理組合向けまで、建物に関する様々な金融サービスを提供しています。

建物の規模や工事内容によって条件は異なりますが、利用することで負担をかなり抑えることが出来ます。

詳しくはコチラから

居住者とのトラブル

修繕工事中の騒音やにおい、煙などによる住民からのクレームは、大規模修繕における最も多いトラブルといっていいでしょう。仮設工事による足場や養生ネットによって、日当たりが悪くなる、洗濯物が干しづらいといった不便が生じ、苦情につながるケースもあります。また近年では夜勤だけでなく、リモートワーク等の多様な働き方による日中の作業時のクレームやトラブルも増えています。

具体的な事前対策として

● エントランスのホワイトボードで工事の状況をこまめに告知する

● 各住戸にスケジュール表を投函する

居住者への事前報告を怠らないようにすることが大切です。

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施工会社とのトラブル

トラブル 秘密

施工会社とのトラブルで多いのは、工事期間の大幅遅延や施工品質の問題、工事完了後の施工不良などです。なかには追加工事費用を請求され、修繕計画の予算をオーバーしてしまったというケースもあります。施工会社を選定する際は、複数社に見積もりを依頼し、施工実績や経営状態をしっかりと確認する必要があります。

マンション外の人とのトラブル

長期間に及ぶ大規模修繕の際は、マンション居住者だけでなく、外部の周辺住人の生活にも影響を及ぼします。よくあるクレームは次の3つです。

● 工事の騒音や振動、ホコリなどで生活に不便が生じている

● 工事車両の頻繁な出入りや一時駐車に迷惑している

● 水道が止まった、水の出が悪い

周辺住人とのトラブルをできるだけ回避するためには、大規模修繕着工前の事前報告と挨拶、工事期間の周知、工事中のこまめな状況報告が重要です。

また工事による騒音・振動・異臭・車両移動の発生時間などを、具体的に伝えておくことも大切です。マンション外部からのクレームを受けたときはすぐに相談窓口を設置し、謝罪や解決策を迅速に伝えましょう。

防犯関連

南京錠

大規模修繕中は、枠組み足場を利用した外部から侵入が容易になるため、空き巣被害のトラブルが発生する場合があります。

通常の施工業者は侵入被害を防ぐために、足場開口部を施錠する、養生シートを金網養生にするといった対策を行っています。厳重なところでは、防犯カメラやブザーを設置する場合もあります。防犯対策についての対応は施工会社によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

トラブルを未然に防ぐには関係者間でのコミュニケーションが重要

大規模修繕におけるトラブルを未然に回避するためには、関係者間でのコミュニケーションが必要不可欠です。特にその中でも気を付けるべき点は以下5つになります。

修繕計画の定期的な見直し

作業に遅れは出ていないか、天候の影響は受けていないか、予算は足りているか等の計画が順調に進行しているかの確認は定期的に行うことが大切です。計画中の大雨や台風、地震被害によって修繕箇所の劣化が大幅に進行してしまい、当初立てていた予算では賄いきれなくなるケースも多々あります。

管理会社・管理組合・施工会社間での意思疎通

修繕計画に沿ってそれぞれが動きますが、万が一トラブルやクレームが発覚した際には、迅速な対応が求められます。管理会社・管理組合・施工会社間での意思疎通・連携が曖昧な状態だと、情報の共有や対応に遅れが出てしまいます。その結果、二次被害や施工後の居住者の満足度低下などに繋がってしまいます。

マンション居住者への事前告知

思い違いによるトラブルを防ぐためにも、マンション居住者への事前告知を徹底しましょう。口頭で説明したり工事に関する案内チラシをポストに入れるだけでなく、直接案内チラシを持って一軒ずつ訪問して説明を行うのが良いでしょう。面倒ではありますが、そうすることで「聞いてない」「見てない」の行き違いによるトラブルが起こるのを防ぎやすくなります。

周辺住人への情報共有

工事中は作業時の騒音や臭いが発生してしまうものです。施工業者はなるべく周りに影響が起きないようにシート等を用いて対策を講じますが、全てを防ぎきれるわけではありません。そのため周辺住人に対しても、マンション居住者と同様に事前の情報共有が大切です。

信頼できる業者を選定する

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マンションの大規模修繕でトラブルが起きた時の相談先

トラブルが発生した際は、慌てず冷静に対処することが大切です。

  1. 状況の把握: まずは何が問題なのか、具体的に把握しましょう。
  2. 記録:トラブル発生時の状況を写真や動画で記録しておきましょう。
  3. 施行業者への連絡: 施行業者に状況を伝え、早急な対応を求めましょう。
  4. 管理組合への相談: 管理組合に状況を報告し、助言を求めましょう。
  5. 専門家への相談: 警察、弁護士、建築士、不動産鑑定士など、公的機関・専門家の意見を聞きましょう。

トラブルを未然に防ぐために

  • 契約書の内容をしっかり確認する: 工事内容、費用、スケジュール、保証期間などは、しっかりと確認しましょう。想定外の事態が起きた場合の対応についても事前に確認しておくことが大切です。
  • 定期的な現場確認: 工事の進捗状況を定期的に確認し、問題があればすぐに施工業者に連絡しましょう。また管理会社や管理組合に連絡し、修繕計画を見直すことも大切です。
  • 記録を残す: 工事中のやり取りや、トラブル発生時の状況などは、証拠として記録しておきましょう。「言った、言ってない」と認識の相違によるトラブル防止だけでなく、トラブル発生時の状況を証拠に残すことで保険金が貰える可能性があります。逆に証拠が無いと対応してもらえず、高額な保証金や追加工事費を払うことにも繋がりかねません。

最後に

トゥインクルワールドでは部分修繕から大規模修繕工事までお手伝いさせていただいております。弊社の大規模修繕工事の施工事例をこちらからご覧ください。

当社では無料で建物の診断調査を行っておりますので、建物のお困り事があれば、お気軽にお気軽にご相談ください。お客様のニーズに合わせて工事のご提案させていただきます。

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